自省録

昆虫Gから自分の人生を守るために

最終兵器バポナの代償

H王子のワンルームマンションに落ち着き、やれやれと思う間もなく、この一見きれいにリフォームされた部屋が、もと汚部屋だったこと・Gのすみかであることに気づきました。

ここで私は、とうとう禁断のバポナを部屋に持ち込みました。Gに対する効果は絶大ですが、人体にも有害なので、決して人の住居に置いてはいけないという、最終兵器です。

もう、少しやけっぱちになっておりまして、多少寿命が縮もうとかまわないという思いでした。さすがに最終兵器、効果は素晴らしいものでしたが、ある晩、究極のデメリットを知ることになりました。

ベランダと部屋の間のサッシ窓に、大型黒Gが隙間ギリギリで死んでいたのです。要するに、サッシの隙間!をすり抜けて部屋へ侵入しようとしたGが、部屋へ入った瞬間死んだと。つまり、バポナを使い続ける限り、生きているGには会わなくて済みますが、次々やってくる死骸を片付けるという恐怖の行為はエンドレス。

ゴミ袋式の掃除機で死骸を捨てた私は、夜中に実家の母に、泣き泣き電話をかけました。

親というものはありがたい。

「戻っておいで」

「うん」

私は会社に相談して(「実は母が病気になって……(汗)」)、地方での在宅勤務を許してもらい、4か月でその部屋を引き払い、k府の実家へと戻り、現在に至っています。会社にはいくら感謝してもしきれません。在宅勤務というものが市民権を得つつある時代で助かりました。両親も高齢でしたので、そろそろ考えなくてはならないと思っていたところでもありましたし。

 

しかし地球温暖化恐るべし。今や実家にもGが出ます。私は最終決戦の覚悟を決めて帰郷しました。